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Google I/O 2016 セッションまとめ ②: What’s new in Android Wear 2.0?

こんにちは!Androidエンジニアの @nakamuuu です。

今回は Google I/O 2016 で行われたセッション What’s new in Android Wear 2.0? から、Android Wear 初のメジャーアップデートとなる Android Wear 2.0 の新機能や気になったポイントを開発者目線でまとめていきたいと思います。

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What’s new in Android Wear 2.0?

セッションの冒頭では Android Wear 2.0 での強化点が以下のように簡単にまとまられています。

  • New User Interface
  • Standalone Apps
  • Watch Face
  • Messaging
  • Fitness

What’s new in Android Wear 2.0? ではこの5つのポイントに沿って、それぞれ新機能や変更点について解説が行われました。

New User Interface

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まずは刷新されたユーザーインタフェースについての解説が Android Wear 1.4 との比較も交えながら行われました。

Android Wear 2.0 ではウォッチフェイスのカスタマイズ機能やアプリランチャー、クイック設定パネルまでを含めたシステム UI 全体のデザイン・操作性の改善が図られました。Android N の ダイレクトリプライ機能 の Wear 版とも言える返信機能が追加されるなど通知機能にも大きく手が加えられています。この部分についてはこの後の Messaging の部分でより細かい説明が行われています。

文字入力機能の強化として Input Method Framework のサポートが追加されました。これによってサードパーティによる Wear 向けの IME の開発が可能となります。デフォルトの IME としては手書き入力やフルキーボードが搭載されました。気になるフルキーボードの使い勝手ですが、キーボード上で指を滑らせることで入力を行う「ジェスチャータイピング」にも対応しているので慣れてくると小さい画面上でもスムーズに入力ができました。現状では英語のみサポートされていますが、日本語のサポートがどういった形で行われるのか楽しみなところです。

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Android Wear 2.0 に対応した Wear アプリは新しく公開されたデザインガイドラインである Material Design for Wearables に準拠することが推奨されています。 Material Design for Wearables に準拠するにあたって注意すべきポイントとしては大きく分けて以下のポイントが挙げられます。

  • Vertical Layouts : 垂直方向に展開されたレイアウト(Android Wear 1.x でよく見られたグリッド状のレイアウトは非推奨)
  • Darker Color : 視認性や OLEDディスプレイにおける消費電力を考慮した暗色をベースとするUIパーツの色構成

Wearable Support Library についてはすでに最新版となる 2.0.0 のアルファバージョンが公開されており、この Material Design for Wearables に書かれている Navigation drawerAction drawer などのコンポーネントを簡単に作成することができます。( 参考

Material Design for Wearables については、別に Android Wear 2.0: Building Apps with Material Design というセッションの中で詳細な説明が行われました。こちらのセッションの内容も合わせてチェックすると良いかもしれません。

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Standalone Apps

Android Wear 2.0 ではスタンドアロンアプリがサポートされ、スマートフォンから独立したアプリの動作が可能となります。スマートフォンとWear端末間の通信専用の API である Data Layer API を介さずに、直接ネットワークへの HTTP アクセスができるようになりました。*1 これは Wear 端末が Wi-Fi や携帯回線に接続されていない、通常の Bluetooth 経由のペアリング状態であっても可能です。

ということで、フリルのスマートフォン向けの APK ファイルを Android Wear 2.0 にインストールしてみると、下の画像のようにある程度動作させることができました。実際にユーザー向けに提供する際には操作性や動作速度、電池持ちまでを考慮に入れて専用のアプリの設計をする必要がありますが、それでも Wear アプリ開発の障壁はかなり低くなったと言えるのではないでしょうか。

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さらに、Wear アプリのインストールのフローも大幅に変わります。従来はスマートフォン向けの APK ファイルに Wear 端末向けの APK ファイルをバンドルする形で Wear アプリ対応を行っていましたが、Android Wear 2.0 では Wear 端末向けのアプリのみを直接インストールすることが可能となります。スマートフォン向けの APK ファイルの容量を削減できることや、iOS 端末とのペアリング時にもアプリをインストールできるようになったのが大きな利点だと感じました。

Watch Face

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新しく登場した Complications API によってウォッチフェイスに表示できる情報の幅が格段に広がりそうです。Android Wear 2.0 では Complications API を使用することで事前に定義されたいくつかの形式( 参考 )に沿って、ウォッチフェイスに様々な情報を表示することが可能になります。

データの提供側の実装は ComplicationProviderService を継承した Service を1つ用意するだけなので、とても手軽に対応が行えると思います ( サンプル )。 Android 4.x 時代にはサードパーティアプリがロック画面のウィジェットを拡張機能として実装できる DashClock Widget のようなアプリもありましたが、かなりそれに近い構造に感じました。

Messaging

New User Interface の部分でも触れられていましたが、Android Wear 2.0 では通知からの Smart Reply 機能が実装されました。Android N から Notification クラスに新たに追加されている MessagingStyle というスタイルを指定することで使用できるようになります。*2

通知経由だけでなく、Android Wear 2.0 では前述のアプリランチャーの刷新や Complications API によってもメッセージングアプリの使用がよりスムーズなものとなっています。よりウェアラブル端末をコミュニケーションに活用できるような改善が多数行われていました。

Fitness

Android Wear に限らずウェアラブル端末の一つの大きな売りとなっているフィットネス機能にも大きく手が加えられています。フィットネス周りの機能の強化点として挙げられたのは以下の3つでした。

  • Real Time Data Update Notifications : ユーザーの歩行や水分補給などの状況に合わせたリアルタイム通知
  • Real Time Gym Activity Recognition : 腕立て伏せやスクエットなどのアクティビティの自動記録
  • Real Time Walking, Running, and Bicycling Recognition : 歩行や自転車の使用などの自動記録

Android Wear 2.0 では Google Fit プラットフォームを活用し、より「パーソナルコーチ」的なアプローチでユーザーの健康を支える機能が大幅に強化されていました。フィットネス機能においては Fitbit などの他のウェアラブル端末が先行しているイメージがありましたが、この分野でも Android Wear が優位性を示せるようになるのではないかと期待できました。

まとめ

ここまで、Google I/O 2016 で行われたセッション What’s new in Android Wear 2.0? から、Android Wear 2.0 の新機能や強化されたポイントをまとめました。

Android Wear 2.0 の最大の特徴として挙げられるのはやはりスタンドアロンアプリの動作が可能となった点だと思います。Android Wear 単体での動作が可能になったことで Wear アプリ上で実現できることの幅がかなり広がるほか、その開発自体もより手軽なものになるはずです。今よりも多種多様な Wear アプリが登場してくるのではないかと期待しています。また、同時に公開された Material Design for Wearables によって小さい画面サイズへのインターフェースの最適化も大きく進んで行くことでしょう。

Android Wear 2.0 Developer Preview はすでに公開されており、LG Watch Urbane 2nd Edition と Huawei Watch 用のシステムイメージが配信されているので実機でも使用することが可能です。*3 実際の使用感としても今秋の正式版リリースに向けてかなり期待が持てる仕上がりになっているように感じました。初のメジャーアップデートで大幅に強化される Android Wear の世界をぜひ早いうちに体験してみてください。

developer.android.com

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*1:スマートフォンとのデータの同期やネットワークへのアクセスに必要なトークン情報などのやり取りには引き続き Data Layer API を使用する必要があります。

*2:2016年6月10日時点では MessagingStyle の通知の表示に対応した Android Wear アプリの最新版が公開されていないため使用できません。今後数週間以内の公開が予定されています。

*3:システムイメージの導入にはブートローダーのアンロックが必要となります。すべてのデータが削除されるほか、メーカーによる端末の保証が無効となるので注意してください。