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CMの費用対効果を改善するための仮説検証サイクル

こんにちは。shobyです。

Fablicでは定期的に全国でCMを放送しており、各CMの費用対効果を改善すべく、仮説検証を繰り返しています。

今回は、約1年間のCM効果改善を振り返り、Fablicで行われてきたCMの費用対効果を改善するための仮説検証サイクルについてご紹介します。

(この記事は Fablic Advent Calender 2017 の6日目の記事です。)

概要

  • なぜCMの費用対効果を改善する必要があるのか
  • CMの費用対効果改善の流れ
  • CMのプランを構築する
  • CMの効果を計測する
  • CMの計測結果から学びを得る
  • Fablicでの実施例

なぜCMの費用対効果を改善する費用があるのか

社運をかけた大規模なプロモーションであり、可能な限り効果を高める必要があるためです。

スタートアップにおいてCMは、多額の費用をかけ、短期間でサービスを成長させるために行われます。*1

会社としては社運をかけるほどの大きな金額を投資することになるため、限られた費用で可能な限りプロモーション効果を高め、サービスの成長に繋げることが必要になります。

CMの費用対効果改善の流れ

CMによる効果は不確実であり、狙い通りの効果を上げることが難しいため、仮説検証を繰り返すフィードバックループを回すことで、費用対効果を改善します。

CMによる効果が不確実なのは、再現性が低いことによって生まれます。 他社のCMを真似しても同様の効果が得られるとは限らず、効果が良かった場合に同じ条件で投下しても同じ効果が得られるとは限りません。

この再現性の低さには、サービスの性質と視聴者との相性、放送枠によるパフォーマンスの違い、AppStoreランキングやSNS等の外部要因など、様々な要因が絡んできます。

このような不確実な領域では、仮説検証を繰り返し、フィードバックループを回す改善方法が適しています。 改善のサイクルは、リーンスタートアップ方式によるプロダクト改善の流れとほぼ同様です。

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  • 構築する
    • 広告内容のプランニング
    • 投下箇所、投下量のプランニング
  • 計測する
    • GRP単価
    • CPI
    • サービスのKPI
    • サービスの認知率
  • 学ぶ
    • サービスKPIへの影響の考察
    • CPI改善要因の考察

このようなフィードバックループを回すことで、少しずつ再現性を高めながら、費用対効果を改善することができます。

CMのプランを構築する

初回は必要最低限の費用を使い、仮説を小さく検証するためのテストマーケティングプランを立てます。 二回目以降は以前のCMの計測結果から学びを得て、新たな仮説を元にプランを構築することで、フィードバックループを回していきます。

CMは多額の費用がかかるマーケティング方法であるため、何も仮説が検証できていない段階で大規模な投下をするのはかなりのリスクがあります。

そのため初回は、制作費と投下費用を可能な限り抑え、テストマーケティングを行います。*2

YouTubeで広告出稿をするか、静岡などの地方局で少量のCM投下を行うことで、小さく仮説検証を行うことができます。

二回目以降は以前のCMの計測結果を元に学びを得て、新たな仮説を立てることができます。 この仮説を検証するためのプランを構築し、実際の投下を行うことで、CM効果の改善を行っていきます。

プラン構築段階で適切な仮説が立てられていれば、A/Bテストを用いて訴求ポイントといった広告内容の最適化を行うこともできます。

具体的なCMのA/Bテストの方法については以下のリンクをご参照ください。

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CM効果を計測する

CM効果改善の中でも、特に大事なのが計測です。 実際にCMがKPI増加に結びついたか、CMによりサービスの認知率が拡大したか、また新規ユーザーの獲得効率がどうだったか、といった計測を行い、プラン構築時の仮説検証に役立てます。

費用対効果という観点では、一般的な広告と同様にCPI(Cost Per Install)を用いた計測を行います。

都道府県ごとのCPIや、時間帯別のCPIを計測することで、投下箇所、投下量のプランニングにおける仮説が正しかったかを検証することができます。

計測方法の詳細は以下のリンクをご参照ください。

in.fablic.co.jp

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CMの計測結果から学びを得る

CMの計測結果から、なぜこのような結果になったのかを調べ、次回の投下プラン構築に生かします。

上でも書いた通り、CMには様々な要因が絡み合っており、得られた結果から学びを得るのは難しい作業です。 この段階で次回のプラン構築に生かすためには、計画段階での適切な仮説設計と、CMによって発生する独特な現象についての理解が必要になります。

仮説設計に関しては、極力他の要因に影響を受けづらい仮説を立てることで、検証が容易になります。 例えば、都道府県ごとの最適な投下量に関する仮説を立て、都道府県ごとの投下量調整プランを構築するケースなどは良い例です。

都道府県ごとの投下量調整に関しては、各都道府県で効果が独立しており、違いが影響を受けづらいため、計測結果を元にした学習が行いやすくなります。

また、CMによって発生する独特な現象についての理解もあれば、CMの計測結果を考察しやすくなります。 具体的には、残存効果といった長期的にCMの影響が残存する効果や、AppStoreのランキング上昇効果といった効果が発生します。 詳細は以下の記事をご覧ください。

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このように、様々な観点から計測結果を見て判断し、次のCMのプラン構築に生かします。

Fablicでの実施例

FablicではフリルのCMに以上のような改善を行い、CMの費用対効果を改善しています。 直近では以下のようなCMを放送しています。

まとめ

スタートアップにとってCMは、社運をかけた大プロモーションであり、費用対効果を改善し、サービスの成長に結びつける必要があります。 CMは効果の再現が難しく不確実であるため、仮説検証を繰り返してフィードバックループを回すことで効果を改善していきます。

プランの構築においては、初回は仮説を小さく検証するテストマーケティングプランを立て、二回目以降は以前のCM投下から新たな仮説を立てて検証するプランを立てます。

計測においては、サービスのKPIと合わせて、CPIを元にした獲得効率を測ることで、仮説の検証に役立てます。

CMは多くの要因が絡み、計測結果から学びを得るのは難しいため、プランの構築フェーズから検証しやすい仮説を立て、残存効果やランキングの影響といったCM独自の現象を把握することが必要です。

Fablicでは、このようなフィードバックループを回しながら、CMの効果を改善しています。

この記事で書き切れなかった内容は、2017/12/13(水)に開催予定のテレビCMプロモーション改善事例共有会で話す予定です。 CMに関する知見をお持ちの方は、ぜひ参加登録をお願いします。

fablic.connpass.com

*1:大企業においては長期的なサービスのブランディング目的で使われることが多いです。

*2:テストマーケティングは、リーンスタートアップにおけるMVP(Minimum Viable Product)に該当します