こんにちは!デザイナーのkobachiです。 7/23(木)にThink User First – Cookpad × Fablicというイベントを開催しました。 本イベントのレポートをお届けします。
Think User Firstとは
レシピサービス「クックパッド」休日のおでかけサービス「Holiday」などを手がけるCookpadと、フリマアプリ「フリル」を手がけるFablic。 “ユーザーファースト”を掲げるこの2社で、開発現場での実際の取り組みについて紹介するイベントが“Think User First”です。 当初40名の定員に対して、260名以上の方にご応募いただいた本イベント。30名増枠し、参加人数70名と大盛況のイベントとなりました。 前半は両社2名のデザイナーによる、手がけている仕事とサービス開発現場での事例紹介です。
「クックパッドデザイナーが実践するユーザーファースト」
倉光 美和(くらみつ みわ)さん Cookpad/デザイナー
倉光さんはユーザーファースト推進室に所属されており、ユーザーファースト文化をグループ全体に伝えるための活動を行っているそうです。
倉光さんの考えるユーザーファーストは「ユーザーのことを1番に考える」こと。 クックパッドでは、ユーザーファーストなサービスになるために「手間を掛けることを厭わず、テクノロジーを活用することでユーザーに最大の価値を提供する」ということを目指しているのだそうです。
発表の中で特に印象に残ったのは、ユーザー調査の手法が洗練されていたことです。 詳しい内容はこちらの記事にまとめられていますので、ぜひ併せてお読みください。
「Holiday のデザインと開発 - ユーザーに価値を届けるためのプロトタイピングから実装まで」
多田 圭佑(ただ けいすけ)さん Holiday/デザイナー
Holidayは「いつもの休日のおでかけを楽しくすることで人生を豊かにする」というコンセプトのサービスです。新卒としてクックパッドに入社された多田さんは、iOSアプリのUI実装もガンガンされているそうです。
価値仮説シートやアプリケーション定義ステートメントシートを使った情報の整理、ペーパープロトタイピングなど、技術的な部分の紹介をしていただきました。
多田さんが開発に携わる上で、特に重要視しているのは以下の3点。
1.ユーザーに価値を届けるプロダクトをつくる 2.速さと品質の両立 3.仮説、実行、検証を素早く繰り返していく
共通しているのは「ユーザーへの価値提供」という点。多田さんは「ユーザーに価値を届けるプロダクトを作るのが使命」とも仰っており、ユーザーファーストという言葉との強い結びつきを感じました。
Q&A
Q.社内でどれくらいの声が上がった段階で機能を見直すのか? A.データを見て、恐らくこの辺に問題があるな…と仮説を立てる。 ユーザーヒアリングを元にしているので、具体的な定義はない。 事実を元にして仮説を立てて改善している。 Q.価値仮説シートの使いどころは?検証サイクルを回すたびに毎回使っているの? A.毎回ではなく、大きいところ(プロダクトの初期の価値)で使うことが多い。 細かいところの改善には違うやり方をしている。 Q.検証のフェーズでパネルもデザイナーがやってるの? A.多くの場合はデザイナー、もしくはディレクターがやっている。 最近は数値分析が専門のスタッフがやることも。 Q.ABテストはやってるの? A.やっている。 1番多いのは、優良会員に訴求が正しく伝わっているか?というところで、 文言やクリエイティブの伝え方を変える、出し分け、何%だけ出す等を試して数値の反応を見ている。
「ユーザーファーストな会社の誕生と実践」
竹渓 潤(たけたに じゅん)Fablic/取締役・デザイナー
竹渓が考えるユーザーファーストは、「ユーザーを満足させる->たくさん利用してもらう->収益をあげる」という優先順位の付け方であると語っていました。
Fablicのユーザーファースト文化についての話から、実際にユーザーインタビューをする際に気をつけていることを紹介していました。Fablicのユーザーファースト文化については、以前このブログでも取り上げていましたね。
ユーザーに聞く文化が根付いているのを踏まえて伝えたいことは「ユーザーの声を聞くことはかんたん!」ということ。やろうと思えばだれでもできる、やっちゃだめだという思い込みを捨てて積極的にユーザーの声を聞いてみるのがユーザーファーストへの近道であると語っていました。
私も実際に気軽に意見や感想をいただける環境で仕事をしていて、時間を掛けて答えがでないことを考えるよりも実際に聞いた方が早く解決できることが多いので、すごく効率が良いと感じています。ユーザーファーストを考える上で、ぜひ取り入れてほしい施策の1つです。
Q&A
Q.ヘビーユーザーの判断基準は? A.データベースの利用状況がわかるデータを元に判断している。 具体的な基準や参考にするデータは施策によって変わる。 Q.社内でやっているユーザビリティテストについて、アップデートの際はだいたい何人くらいに聞いているの?フリルはiOS、Androidともにあるが、それぞれのクライアントごとにテストしているの? A.一桁台の後半。AndroidとiOSとでUIが大きく変わる場合は分けるが、あまり変わらない場合は一度にまとめて行っている。 Q.なぜ女性向けアプリを作ろうと思ったきっかけは? インタビューや調査を重ねるうちにmixiやデコログを使ってフリマのようなことをしている女性がたくさんいることがわかり、コアターゲットは若い女の子になるのではと思いターゲットを絞った。 また、CtoCのサービスの肝は、成約率(商品の売れやすさ)が高めていくことであると考えていた。 そのためには同じようなクラスタの中の方がマッチングしやすいと考えたため、女性限定にした。 Q.初期案からどのように変更していったのか? A.初期案は全ユーザー、全商品を対象にして、位置情報やソーシャルグラフ、興味関心のグラフをマッチングさせるようなものを考えていた。
「UXマップを活用したサービス改善」
塚由 恵介(つかよし けいすけ) Fablic/デザイナー
塚由の発表は、「UXマップ」という改善手法のご紹介でした。 理想のユーザーストーリーと現実のユーザーストーリーとの乖離を可視化し、発見することができるUXマップ。フリルのリニューアルにおいてどのように利用されたのか、実例を基に語られていました。
また、発表の後半には面白い仕掛けがありました。このイベント自体のUXマップを作成することで「ユーザーファースト」を実際に体験できるような構成になっていたのです。
普段は作り手の私たちですが、受け手となることで「ユーザーファースト」は、身近で気軽に実践できるものだと感じることができました。
Q&A
Q.UXマップは毎回書いてるの? A.毎回ではなく、同じフォーマットのものをどんどんアップデートしていく形にしている。 Q.UXマップの分け方(初めての購入者、出品者、リピート購入者、出品者)はどうやって決めているの? A.僕が作ったUXマップはサイクルしているわけではない。 初めてのユーザーとリピートユーザーを一緒にすると無理が生じると思ったため、 初めてのユーザーとリピートユーザーを分けようと思った。 購入者と出品者のモチベーションが違うため、分けている。